日本は世界でも例を見ない速度で高齢社会を迎えました。そのため、早急に解決しなければならない様々な課題を抱えています。中でも、認知症対策は避けて通ることができない重大な課題となっています。 認知症の方々が安定した日常生活を営むためには、個人の尊厳を保ち、価値ある人生を送ること、さらに、家族が安心して生活できることが必要です。また、認知症の方の問題に関しては、介護者として、あるいは被介護者として、誰もが当事者となる可能性があることを理解する必要があります。そういう意味においても、認知症の方は社会全体で支えなければならない存在です。しかし、現在においても、認知症に対する理解は国民全体に浸透しているとは言えない状況にあります。 また、認知症の方は、施設において、他の障害をもつ高齢者と同様に、集団の一員として処遇されています。こうした処遇により、認知症の方は様々な制約を加えられ、ストレスの多い状況に置かれることになり、痴呆症状を悪化させるケースもみられます。これは、既存の大型規模施設における介護方法では、処遇が困難な場合があることを意味しています。 海外においては、福祉先進国を中心に認知症グループホームの取り組みが普及し、その効果も検証されてきました。日本においても海外の動きを受け、先進的な取り組みとして、認知症グループホームが活動を始めています。